医療DX推進関連法案 大枠提示
令和6年10月30日 第111回社会保障審議会医療部会で、来年の通常国会に提出される医療DX推進関連法案(医療法、健康保険法などに医療DXを総合的に推進する規定を盛り込む)の大枠が以下の5項目で提案されました。
特に、(3)の運用負担については、電子カルテ情報共有サービスのシステム構築は国が行いますが、その運用・保守等の費用について誰がどの程度負担するかを明確化するための関係法令規程が設けられおります。
また、電子カルテ情報共有サービスに接続することを前提に、電子カルテ情報・文書をFHIRに基づいた形式に変換し、電子的に送受信するために必要な改修等にかかる費用についても補助金等の支援(令和6年3月~「医療機関等向け総合ポータルサイト」で医療機関からの申請受付開始)も開始しているので、今後の医療DXの取り組み状況について注視する必要があります。
電子カルテ情報共有サービスについての法律に規定(案)
(1)医療機関から支払基金等への3文書(健康診断結果報告書、診療情報提供書、退院時サマリー)6情報(傷病名、感染症、薬剤アレルギー、その他アレルギー、検査、処方)の提供について
◆ 医療機関等は、3文書6情報について、支払基金等に対して電子的に提供することができる旨を法律に位置づけ
◆ 質が高く効率的な医療の提供及び医療機関における負担軽減を目指す観点から、法令に根拠を設けることにより、個人情報保護法の第三者提供に係る本人同意取得の例外として、3文書6情報を提供する都度の患者の同意取得を不要とする。なお、他の医療機関が、登録された3文書6情報を閲覧する際には、患者の同意が必要。
(2)3文書6情報の目的外利用の禁止について
◆ 支払基金等に提供された3文書6情報については、支払基金等は、電子カルテ情報共有サービスによる医療機関等への共有以外の目的には使用してはならない旨を規定
(3)運用費用の負担について
◆ 電子カルテ情報共有サービスの運用費用の負担者や負担方法等について規定
(4)電子カルテ情報共有サービス導入の努力義務について
◆ 地域医療支援病院、特定機能病院、その他救急・災害時における医療提供を担う病院等、その役割・機能に鑑み、カルテ情報の電磁的共有が特に求められる病院の管理者に対する、3文書・6情報の共有に関する体制整備の努力義務を規定
(5)次の感染症危機に備えた対応等について
◆ 医師等が、感染症の発生届等を届け出る際、電子カルテに記録した診療情報を改めて入力することなく、同一端末上で発生届等を作成することができるよう、電子カルテ情報共有サービスを経由して感染症サーベイランスシステムに届け出ることができることを規定
◆ 感染症対策上必要な時は、厚生労働大臣から支払基金等に対して、電子カルテ情報等の提供を求めることができることを規定
◆ 厚生労働大臣は、支払基金等から提供を受けた電子カルテ情報等を用いた調査研究を国立健康危機管理研究機構(JIHS)に委託できることを規定